突然の医師来訪。
それなら割り切ってのんびりしてやるぜ!と思うのですが、家で過ごすように完全にグータラモードに移行することもできません。と言うのも予告なしにランダムで看護師さんが様子を見に来てくださるので(点滴&体温チェックや採血等で)、おちおち気を抜けません。もしうっかり失態を見せてしまったら……と思うと、ぞっとします。
そういうわけで、のんびりオフモードにもなれず、かといってギラギラモードにもなれず、中途半端な気持ちで過ごしていました。
この時の私の身体は、浮腫んでパンパンでした。
「便が出たら教えてくださいね」と看護師さんに言われたのですが、排便はおろか、排尿すらも気配がなく、口にした飲食物は全て体内に蓄積されている状態。パンパンどすこい体型は、最高潮にまで極めていました。浮腫みでひとまわり以上大きくなった顔が醜く思えて、心はブルー。
仕方ないとは言え、ドスドスむくむく身体の自分に、すごく落ち込んでいました。
そんな時突然私の手術を執刀してくださった医師が、病室に来ました。
予告なしの来訪だったので、びっくりしました。
ちょっと……素っ気ないです術後面談。
「飯沢さん、手術の説明をしたいのですが。今いいですか?」
「はい」
「別室でお話しします。歩けますか?」
「はい」
「では来てください。急いで」
突然病室に来た医師は、そう言って私を促しました。
ちょっとびっくりしたのですが、手術を前日に終えたばかりの患者さんに「急いで」はないんじゃないかな……?と思いました。医師の意図はわかりませんが、精神的な意味での「急いで」なのか、行動的な意味での「急いで」なのか。何にしろ少し複雑でした。
廊下を出て別室に向かう最中も、うーんという感じでした。
私に歩幅を合わせるというか並んで歩くという意識がないのか、医師はどんどん先を歩いて行ってしまい、 私との距離は開くばかり。一度も振り返ることも、様子を伺うこともなく。
これには……え?でした。
あくまで私の意見ですが、普通は患者さんと並んで歩きながら「調子はどうですか?」とか話すんじゃないのかなと。点滴スタンドを引き摺りながら歩いている私は、医師を追いかけるのもやっと。ちょっと待ってよー!
加えて術後の身体の調子を一度も聞かれなかったので、全然患者さんに興味がないんだなと感じました。私は数多くの患者さんの中の一人なので、仕方ないと言えば仕方ないのですが……。こういうものなのでしょうか。
「飯沢さん、手術は成功でした。これが飯沢さんの腫瘍です。血液の塊ですね」
別室でパソコンのモニターを見ながら、色々と説明を受けました。手術は成功。腫瘍は大きくて黒っぽい塊でした。写真を写そうかなと思ったのですが、そういう雰囲気を許さない感じの医師だったので、断念。
取り出した腫瘍は病理検査に出され、検査されます。退院から1ヶ月後に術後検診を受けた時に、腫瘍が良性か悪性かわかるそうです。
「飯沢さんは癒着がひどく、卵管が詰まっていました。きちんと治しましたので、今卵巣はきれいな状態です」
「はい」
「しかし生理が起こると、当然卵巣嚢腫の再発の可能性があります。再発を避けたいのなら、今まで通りディナゲストの服用を勧めます」
「はい」
「しかしディナゲストを服用していると、当然妊娠はできません。飯沢さんは子供はどうされるんですか」
「えっと……」
「若くないんだから、子供の産むなら早くしないと」
「……」
「とりあえずディナゲストを1ヶ月分処方しますよ?退院後から飲んでください」
「はい……」
何だかお説教を受けているみたいでした。もやっとしながら解散。
食欲なしの夕食。
この日の夕食は、全粥330グラム、魚のマリネ、煮物、アスパラの和物、ヤクルト。
また食べられませんでした。食べることが大好きなのに、病院ではちっとも食欲が沸きません。食器を下げに来てくださる看護師さんに、申し訳なかったです。
この後は、シャワーを浴びて就寝。
術後1日目のお腹
※以下にお腹の画像を掲載しています。
※苦手な方は飛ばしてください。
シャワー後の写真です。傷口は4箇所で、医療用テープが貼られています。入院中はこのテープを剥がさないようにと言われました。黒くなっているのは、血の塊です。
傷口は熱を持っていて少し痛みましたが、我慢できる痛みでした。
右向き。ガスや水分やその他諸々のものが、身体に蓄積されています。とにかく苦しい!