身動きせずに約20時間ベッド上で過ごした後は……?
手術日当日の夜は、結局一睡もできませんでした。頭の中は眠気や疲労で靄がかかっていましたが、何故か妙に冴え渡っていてギンギン状態。深夜の通販番組を真面目に観続けた上、日の出もしっかり見届けてしまいました。1時間おきに様子を見にきてくださった看護師さんには、「眠剤処方してもらいましょうか?」と気を遣わせてしまいました。
そういうわけで術後から約20時間ほどの苦行に耐えた私は、やっと翌日の起床時間の6時を迎えました。おはようアナウンスと共に爽やかなモーニングミュージックが病室に流れ、もどかしさを抑えつつ看護師さんを待ちます。
ちなみに看護師さんはお一人で何人もの患者さんを担当されているので、6時ぴったりに来てくださるわけではありません。この日は6時30分に来てくださいました。
「おはようございまーす、飯沢さん!まずは歯磨きと洗顔しましょうか」
ベッドがリクライニングになっているので、リモコンで背もたれを起こします。 寝ているだけの私は自発的に起きたわけではなく、自動で起き上がっただけなのですが、身体を起こした瞬間、頭がクラクラしました。吐き気などはありませんでしたが、寝不足や疲れが祟ってめまいが起こったのかもしれません。
手渡された蒸しタオルで、まずは顔を拭きます。タオルの温度がちょうどいい熱さで気持ちよかったです。私が洗顔している間に、看護師さんが洗面台から歯磨きと歯磨き粉、そしてお水が注がれたコップをを持ってきてくださいました。
この入れ物に歯磨きの残骸をぺっと出します。
採血をし、血圧を測り、体温を測定します。ディナゲストは手術前日まで服用。手術当日は一切飲んでいなかったのですが、体温は当然のように高く38.5度。手術の影響で高いのか、ディナゲストの成分が体内に残っているから高いのかはわかりません。「体温高いですね……あとで氷枕持ってきますね」と言われ、この日は氷枕にお世話になりました。とはいえ体温はずっと38度を維持したままでした。
朝の8時に朝食です。固形物ではなく、全て液体!何も飲んでいなかったので、やっとお水が飲める!!!と嬉しかったです。
朝食は、お味噌汁、緑茶、牛乳、ぶどうジュース。
一度に全ての飲み物を飲みきれなかったので、1日かけて飲みました。緑茶もジュースも牛乳も美味しかったですが、特に具なしのお味噌汁は落ち着きました。体内に染み渡りほっとしました。
テレビを見ながらのんびりとお水を飲んでいると、9時にお盆を下げに来てくださった看護師さんがこうおっしゃいました。
「ちょっとずつ歩いてみましょうか」
よっしゃ!ついに歩ける……!
早く動きたくてうずうずしていたので、やる気満々でした。
けれど同時に、脳裏に不安が過ぎりました。
他の方のブログや経験談を読むと、術後はスムーズに歩けず一歩進むのにも苦労したとか、立ち上がった瞬間に吐き気や眩暈がしたとか、気持ち悪くなってたった数歩も歩けなかったとか……。
一筋縄ではいかない術後生活が記されていたことを思い出し、私はごくりと息を呑みました。
私、歩けるんだろうか……?